恋 つづ 夢 小説。 恋はつづよどこまでもの最終回のネタバレ、感想!各シーン動画あり!全員集合動画!

“天堂担”激増中!佐藤健「恋つづ」から『るろ剣』まで計り知れないその魅力

恋 つづ 夢 小説

「なるほどね、そういうことだったの。 勇者ちゃん、ちょっと人たらしではあるから…」 「まあ、そこが彼女のいいところでもあるといいますか」 「そうねえ、女性版来生先生って感じ。 良くも悪くも」 「あぁなるほど、ミス来生。 的を得ている」 始まりは結城と小石川のこんな井戸端会議だった。 先日のストーカーの一件で、元患者の田沢を問いただしたところ、きっかけは佐倉七瀬が退院時、彼に渡した減塩対策の一冊だった。 彼女の看護師としての気遣いを、彼はいち女性の好意として受け取った。 入院時にも家族以外の女性が見舞いに来なかった独身の彼にとって、七瀬の行為は甲斐甲斐しく尽くす妻のように映ったのだろう。 彼の独りよがりな想いは暴走し、その結果があの怪我。 大事に至らなくて本当によかった。 看護師としては良い心意気だし、患者様に愛される事に関して彼女は非常に長けている。 しかしそれも一歩間違えたら大変なことになると、彼女に伝えなくては。 そう結城医師と話したことが、忙しい小石川の頭の隅に残っていた。 だからつい、七瀬を前にしたとき、口からポロっとこぼれたのだ。 「佐倉さんは、ミス来生だからねぇ」 「…え?」 その言葉にクエスチョンマークを浮かべたのは七瀬だけでなく、その場にいた沼津や来生、天堂もである。 しまった。 「いや、この間結城先生とね、佐倉さんは来生先生みたいに、皆から好かれているなあ…って」 慌てて取り繕った小石川に 「なるほどなあ、勇者の人の懐に入り込む上手さは確かに来生先生みたいや。 あとは単純にミスするしな、勇者。 ダブルミーミングやん。 よっ、勇者改めミス来生!」と沼津が煽る。 「えぇっ、そんな、恐れ多い上に来生先生に申し訳ないです…」 と七瀬が焦ると 「人の懐に入り込むとは人聞き悪いな。 でもまあ、佐倉ちゃんなら許そう」と来生が笑った。 天堂だけが視界の端で「くだらん」とコーヒーを飲み干していたのを覚えている。 それで終わるはずだった。 [newpage] そんな七瀬の思いに反して、"ミス来生"が流行った。 ほとんど循環器内科の中限定で。 「ミス来生、これガーゼ替えといてな」 「それ終わったら休憩入って、ミス来生」 来生本人も「紛らわしいなあ」と笑いながらたまに七瀬の事を"ミス来生"なんて呼ぶ。 ただし、天堂については相変わらず「バカ」「岩石」たまに「佐倉」と。 七瀬自身はずっと"恐れ多い"と恐縮しながらも、皆から慕われている来生医師の名前を冠したニックネームに、こそばゆく、少し誇らしくも思っていた。 そして"勇者"のようにいつかこのブームも過ぎ去るのだろうと。 そしてその日はいきなりやってきた。 「あー、来生先生とミス来生、やっと帰ってきた!こちら、この間退院された患者様の奥様。 お礼にって菓子折持ってきてくれはって」 来生と七瀬が揃ってナースステーションに戻るなり、沼津が声を掛ける。 「わ!ありがとうございます!」 「すみません、遠いところお気遣い頂きありがとうございます」 二人が同時にペコリと頭を下げる。 その様子を見て、沼津の横に立っていた年配のご婦人が微笑んだ。 「まあ、主人がお世話になったと言っていた看護師さんはあなたね、佐倉七瀬さん。 どうもありがとう。 今は来生さんって名乗ってらっしゃるの?来生先生もずいぶん若くて可愛いらしいお嫁さんをもらわれたんですね」 その言葉に、その場にいた全員の目が点になり、2秒後には笑い声がナースステーションに響いた。 「こらあかんわ!確かに知らん人が聞いたらそうなってまうよなあ」 「ほんと、紛らわしいですねぇ」 「俺は歓迎だけどね?佐倉ちゃん」 「またまた、先生まで!」 あらあら、まあ、ごめんなさい、私てっきり。 と女性が手を口に当てる。 いえ、こちらが悪いんですすみません。 そういって和やかに終わったと思っていたのは七瀬だけ。 気付いたときには"ミス来生"は"新妻"に進化していた。 [newpage] 「おい新妻、旦那様が探してはったで!」 仕事の流れでなんとなく昼食を共にしていた七瀬と天堂の横を沼津が声をかけながら通りすぎる。 「あっ、はい!ご飯終わったら確認しときます!」七瀬が慌てて返事を返すと、天堂が思わず眉をひそめた。 わぉ、怖い顔。 「…お前、いつの間に結婚したんだ?」 「あぁ!違うんです!話せば長いんですけど…」 七瀬が苦笑いしながら続けた。 先日の一件を面白がった看護師緒先輩が七瀬を今度は"新妻"と呼び始めたこと。 それが来生本人にも飛び火してしまったこと。 さすがに本人を目の前にしては言わないにしても、天堂が影で魔王と呼ばれているように、来生は"旦那"になってしまった。 「来生先生も悪ノリしちゃってて…最近じゃ心なしか院内の来生先生ファンの視線が痛いんですよー」 そう言いながら背伸びをして、立ち上がる。 来生先生、なんで探してたんだろ。 行かなくちゃ。 「それじゃ、お先に失礼します、天堂先生!」 "夫"に会うべく駆け出した七瀬の背中見送りながら、天堂は「小学生かよ」と悪態をついた。 [newpage] この一連のニックネームの件で、来生と七瀬の距離感は一気に縮まったと七瀬は思う。 その結果、弊害が出始めた。 本来"天堂担"であるはずの七瀬に、来生関連の業務がまわってくることが圧倒的に増えたのだ。 そうなると影響が出るのは天堂の業務の方である。 七瀬を呼びつけようとするとあわただしく動いている最中であったりと、ここ最近は目に見えて機嫌が悪い。 その代わり、天堂は酒井に仕事を頼むようになった。 悲しいかな、その方が仕事自体はスムーズなんだよなあ。 ナースステーションでパソコンに向かう天堂の横顔を見ながら、七瀬がため息をつく。 そこに沼津が声を掛けた。 「そういや午後イチで来生先生に書いてもらってくれって頼んだ書類、渡してくれたか?」 「え?あぁっ!さっきロッカーに寄ったときに置いてきちゃいました!すみません!」 あわわわ、と慌て始めた七瀬の肩に、来生が優しく手を置いた。 「すぐ書くから、持ってきて」 「おいおい!しっかりしろよぉ、新妻」 沼津がオーバーに頭を抱える。 「大丈夫大丈夫、俺の奥さん苛めないであげてね」 「来生先生もごめんなさい!今すぐとってきます!!」 沼津を嗜める来生に七瀬が勢いよく頭を下げると、すぐにロッカーに向かって走り出した。 「歩いて!走らなくていいから!」 来生が七瀬の背中に向かって声を張り上げる。 「来生先生もあいつに甘すぎと違いますか。 僕がやったら怒られてるやつですやん」 沼津が来生を軽く睨むと 「ごめんごめん、佐倉ちゃん可愛くてつい」 と来生がカラカラ笑った。 その様子を見て、天堂が二人にクレーム入れる。 「…おい、あいつはいつから来生担になったんだ」 おやおや。 と来生が肩をすくめる。 「いつからも何も、佐倉ちゃんは天堂担になるために看護師になったようなものでしょ。 最近は俺のところにいる方が多いから、誰かさんは面白くなさそうだけど」 「分かってるなら人のもん奥さん呼ばわりすんのやめろ」 「いつの間に佐倉ちゃんは天堂のものになったかねぇ」 あからさまに機嫌の悪い天堂に来生が苦笑いを返す。 「…いまのは言葉のあやだ。 それよりも業務に支障が出るようなあだ名は止めろ、勇者の方がまだマシだ。 俺はともかく、酒井も迷惑被ってる」 その場にいた全員の視線が酒井に移る。 思わぬタイミングで注目を浴びた酒井が、ばつが悪そうに視線を逸らした。 小石川の手拍子が鳴る。 「はいはい、そこまで。 確かに、彼の言う通り、僕たちも悪ふざけしすぎだ。 じゃあ、今日から佐倉さんは再び勇者ということで、解散~」 そう言ってその場をたしなめると、「そこは勇者に戻るんやな」と沼津が小声でつっこみを入れた。 そもそもどうしてこうなったのかねぇ、と頭を掻く小石川を横目に、天堂が ふん、と鼻を鳴らしてその場を去った。 入れ違いにパタパタと響いた七瀬の足音に、皆が振り替える。 「あ、勇者おかえり」 「ほんっとにすみませんでした!…えっと…なんですか、この空気、私またなにか…」 「大丈夫、佐倉ちゃんは悪くないよ」 七瀬の手から書類を抜き取ると、来生が微笑みながら 「佐倉ちゃん、悪いけど、天堂のフォロー頼める?多分まだそのあたりにいるから」と続けた。 「すまんな勇者」 「勇者ちゃん、ファイト」 「がんばれ」 根岸に続いて他の看護師もガッツポーズを作る。 状況を飲み込めていない七瀬だけが「え?え?えぇ?」と言いながらまた廊下に駆けていった。 [newpage] 「天堂先生!」 先を歩く天堂を七瀬が呼ぶと、天堂は振り返らずに「なんの用だ来生の嫁」と返す。 「えぇ…先生まで!大丈夫です、天堂先生がお嫁さんにしてくれるまで、誰とも結婚しません!」 「聞いてない。 廊下で叫ぶなやかましい」 「うぅ…なんでそんなに冷たいんですか」 完全にとばっちりじゃないか…そう思って落ち込みながら天堂を追いかけると、どすん、と、天堂の身体に七瀬がぶつかる。 天堂がいきなり振り返ったのだ。 「あたた…先生、急に…」 「おい、佐倉」 「はい?」 突然名前を呼ばれて見上げた七瀬の左頬を天堂がつねる。 「いひゃい!」 「お前はなんでここにいる」 「えっ?よく分かんないんですけどフォローしてきてと来生先生に…」 また来生か、と天堂の眉間に皺が一段濃くなった。 「そうじゃない。 お前は何でここで働いている。 立派な看護師になるんだろうが。 苦笑いでも俺を笑わせるんだろうが。 お前が見返したいのは誰だ。 ぼやぼやしてよそ見をするな、バカ!」 びっ。 天堂に勢いよく引っ張られた頬を擦りながら、七瀬は天堂をきっと睨んだ。 「ぼ…暴力反対…先生の人でなし!」 「よその男に奥さんとか呼ばれて平気なお前の方がどうかしている!」 「キスは優しいくせに!」 「…職場で余計なこと言うな、バカ岩石!治療の一環だと言ったろ!」 ぎゃいぎゃい言いながら再び二人で歩き始めた時には、天堂はすっかりいつも通りに戻っていた。 「あれだね、お気に入りの子分を盗られて拗ねたジャイアンって感じ?」 「あー確かに。 独占欲まるだし」 ナースステーションで、小石川が呟いた言葉に、来生が腕を組んで頷く。 「酒井さんも悪かったね。 天堂とペアが多くて疲れたろ?」 来生が続けてそういうと、一人黙々と作業をしていた酒井の方を振り向いた。 「いえ…指示が的確で仕事自体はそんなに。 ただ…機嫌の悪い天堂先生は正直めんどくさいです」 「それは…とっても迷惑を掛けてしまった、申し訳ない。 酒井さん新人なのに優秀だからつい甘えちゃってごめんね。 今度なにか奢るよ」 酒井のきれいにまとめられた頭を、来生がポン、と軽く撫でて立ち去ると、彼女は少しうつむいて唇を噛む。 「こういうところが…人たらしなんだよなあ」 残された小石川が一人、少し早い春の空気にあてられていた。

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